(第9話)「清めの塩」の謎

   葬儀に行くと「清めの塩」をもらいませんか。ほら、会葬礼状の中に入って いる小さな袋です。「浄め塩」あるいは「きよめ塩」とも表記されています。
 では、なぜ葬儀に清めの塩を用いるのでしょうか。
 多くの場合「死を穢れとし、それを清める役割がある」と説明がされていま す。
 ただし、100パーセント、仏教の習慣ではなさそうです。神道で清めには よく塩を用いましたので、この影響がありそうなのです。はっきりとしたこと は不明です。
 キリスト教には「ピュリフィケーションソルト」と言って、儀式の時に祓い に使う塩があります。
 イスラム教では、供物の羊を殺した時には塩を振って清めることがあります。
 古代から宗教と塩とは「清め」という関係を持ってきた事実はあります。
 しかし、「死者が汚れているから清める」のではなさそうです。
 身内の「気が枯れていること」が「気枯れ」であり「けがれ」なのです。つ まり、死者が「けがれ」ではなく、死者に関係する親族や関係者が「けがれ」 なのです。
 また、古代、死者を水で洗うという習慣がありました。この場合、これに関 わった人は終了後、川などで身を洗う習わしがありました。いわゆる禊ぎです。
 うーん、結局、話が難しくなりそうだから、この先はこれにて終了。
 それでは会葬礼状に入っている小袋の清めの塩について、注意を一つしてお きましょう。
 実は中にシリカゲルなど乾燥剤が入っているのですよ。
 間違っても、ゆで卵やサラダなどに振ってはいけません。煮物の隠し味に使 ってもいけません。
 食用ではありません。