(第3話)棺桶(かんおけ)と「柩」(ひつぎ)の違い

 ほとんどの人が棺桶と棺の違いについては知らないと思う。
「そんなこと知ってどうするのだ」
 という意見もあるかもしれない。知っても知らなくても日常生活や葬儀には影響がまったくないのも事実だ。ま、それはともかく、棺桶とは遺体が入っていない状態の入れ物のことをいいます。そこで思い出してください。

「棺桶に足を半分入れる」
 という言葉がありました。中に何も入っていない状態であるから、足を入れることができるのです。中に遺体が入っていては足を入れることはできないのです。

 一方、「柩」には遺体が入っています。「柩」の「久」という字は人が入れ物の中に入っている状態を表現しているのです。
したがって、霊柩車の「柩」は「中に遺体が入っている状態」なのです。霊棺車とはいわないのです。

 さて、映画の吸血鬼ドラキュラに登場する棺桶を思い出してください。両肩の部分が幅広くて、足先に向かって細くなっています。この形をコフィンといいイギリス生まれです。
 これに対し、長方体のものをキャスケットといい、宝石箱という意味があります。アメリカ産です。

日本の棺はアメリカのキャスケット型ですが、納棺後も故人の顔を見ることのできる小窓付きのものが主流です。
 棺桶といえば木製を思い浮かべますが、古代ローマや日本には石のものもあります。また、 陶器のものや土器、金属のものもあります。
 そして、黄金の棺といえばツタンカーメンです。人の形をしているため人形棺といわれています。

 棺桶は文化なのです。