(第14話)四十九日の旅
昔の仏教の教えによりますと、人は亡くなると四十九日の旅に出かけます。
まず、最初に立ちはだかるのは死出(しで)の山です。
暗く、細く、険しい山道です。距離はおよそ四百キロ、東京、京都間くらい
です。山道というよりは登山です。
そして、七日七日ごとに仏さまに会います。
(初七日)お不動さま
いろいろ怒られるのかもしれませんね。
ここで三途の川を渡ります。
(二七日)お釈迦さま
(三七日)文殊菩薩さま
(四七日)普賢菩薩さま
(五七日)お地蔵さま
(六七日)弥勒菩薩さま
(四十九日)薬師如来さま
それぞれ、仏さまにお会いして、怒られ、反省させられ、励まされ、旅を続
けていきます。
そうそう、五七日目はお地蔵さまですが、実は有名な閻魔王です。
「ウソをつくと舌を抜かれる」
「生前のことが一目でわかる鏡がある」
といわれています。こうして、旅をして最期、仏さまの国へ行くのです。
死後、いろいろと亡くなった方に仕度をしますが、これは旅仕度です。足に
脚絆を巻き、杖を持ち、笠を持たせます。
まあ、お遍路さんに似ているかもしれません。
いってみれば人生は自分を見つける旅ですよね。同じように死後もまた自分
を見つめる旅になっているのです。