(第10話)「葬式饅頭の歌」

   さて、子供の頃、こんな歌を歌いませんでしたか。
ソーダ村の村長さんが  
ソーダ飲んで死んだそうだ 
葬式饅頭うまかったそうだ
あるいは、
ソーダ村の村長さんが
ソーダ飲んで死んだそうだ
葬式饅頭でっかいそうだ
中身の餡子はないそうだ
この歌は全国的に歌われたそうです。しかも、地方によって、歌詞はまちま ちです。
「ソーダ村の村長さん」が「ソーダ屋の総田さん」。「葬式饅頭うまかったそう だ」が「「葬式饅頭ないそうだ」。「中身の餡子はないそうだ」が「中身の餡子は 少ないそうだ」。
などなど多種多様です。伝聞を表す助動詞「そうだ」を用いた戯れ歌です。
今、葬式饅頭は見かけなくなりました。
どんな形だったのかといいますと小判型で表面にひのきの葉の焼き印がある 春日饅頭と呼ばれている饅頭が葬式饅頭です。青白饅頭とよばれています。
しかし、「葬式饅頭の歌」が全国的にあったということは、葬式饅頭が全国的 にあったということです。
 お葬式と饅頭の関係は不明ですが、そもそも饅頭は鎌倉時代、禅宗の僧侶が 伝えたといわれています。
 その後、江戸時代に土産物や贈答品として饅頭が庶民の間にも広まっていき ます。葬式饅頭として広まったのは明治以降のことのようです。
葬式饅頭の代わりにどら焼きやカステラを出す地域もあるそうです。