禅寺歳時記 10月 達磨忌(だるまき)

 達磨忌とは禅宗系の寺院で10月5日に行われる法要です。磨忌とは五二〇年頃、禅をインドから中国へ伝えた達磨大師のことで、その命日を偲ぶのが達磨忌です。中国の禅宗は達磨さんからはじまったのです。
 ま、この先、難しい話はやめて、赤くて丸いダルマ人形についてのQ&Aにしましょう。
Q「どうして手足がないの?」
 それは達磨大師は手も足もなくなってしまうほど修行したからだといわれています。この坐禅の姿をモデルにしているのがダルマ人形です。
 実際は手足があり、衣に隠れているだけです。「手足がない」ことは、「手も足も出ない」ということではなく、「災難や失敗には手を出さず、損失に足がでない」という意味もあります。
Q「なぜ赤いの?」
 二説あります。一つは達磨大師の着ていた衣の色が高僧が身につける赤(朱色)だったといわれていることです。
 もう一つは中国、陰陽五行説の影響です。達磨大師は南方の人ですから、木・火・土・金・水の五気にあてはめますと火、さらに坐禅している姿は三角形と考えられ"炎"の型となります。火の色は赤です。
 また、赤色には「おめでたい」という意味があり、ダルマ人形は招福、家内安全、増産、夫婦和合、子孫繁栄、商売繁盛などの祈願として人気があります。
Q「なぜ、丸いの?」
 ダルマ人形の形そのもののルーツが、倒れてもすぐに起き上がる「起き上がり小法師」にあるためだと考えられます。
 丸い形は、七転び八起きといわれるように「どんなに転んでも、必ず起き上がる不倒不屈の心」を表しています。また、まろやかな心、穏やかで円満な悟りの境地といった大師の人間性も象徴しています。
Q「なぜ、目玉が大きいの?」
 それについてもいくつか説があります。一つには達磨大師がインド人であったためです。第二説は大きな目が、達磨大師の悟りの偉大さを表現しているということです。
 また、目がつぶれると困る疱瘡(ほうそう)よけのためだともいわれています。江戸時代に疱瘡(最悪、目がつぶれる病気)をさけるために達磨人形が人気を集め、効果を高めるために目が大きくなったということです。
 ダルマの目玉には「悪を退散させ、消滅させる威力」「さまざまな願をかなえ、目を
ひらく力」があると考えられるようになったということです。
最後に 達磨忌を旧暦として11月5日に厳修される地域、寺院もあります。これを付け加えます。