平成22年2月 禅の原点・釈尊の教え

王家の生まれた釈尊はなぜ、出家したのでしょうか?

禅の教え、禅宗は釈尊から始まります。禅宗の立場から見てみますと、釈尊が説法されたことがすべて仏法であり禅ということになります。しかし、その当時は、教えが禅と呼ばれていたわけでもありません。釈尊が開かれた教団が禅宗と呼ばれていたわけでもありません。
 しかし、禅宗は釈尊が坐禅をして悟りをひらいたという機運を原点にしています。そこで、あらためて釈尊にふれておきます。

 釈迦の本名(俗名)はゴータマ・シッダールダといい、紀元前5世紀から4世紀ごろ、北インドの釈迦族の王子として ルンビニーの花園に誕生しました。母マヤ夫人がわき腹から白い象が体内に入るのを夢見て、そのわき腹のあたりから生まれたという話が伝わっております。さらに、誕生するとすぐに7歩あるき、右手で天を、もう片方で地をさし、「天上天下唯我独尊」と宣言したことも、有名な話であります。生後一週間で母を亡くしたことも有り幼いころから、鳥が虫を・蛇が鳥を・その蛇を大きな鳥が生きるために食べるのを見て「命って何だろう」と、そのはかなさから無常観を感じる幼少時代でした。
10代のころから、城の門を出るようになり、町で老人や病人の苦しみを目のあたりにしました。これより「愛別離苦」[生老病死」を知り悩みました。ある日城の外で、出家者と出会い「出家して修行を積み重ねた結果、安楽の境地である涅槃(ニルバァーナ)をえることができました。」との言葉を来たことをきっかけにシッダールダも出家の意志をもち、強固なものへとなっていくこととなりました。
王家の跡継ぎの身分であるシッダルダです。望みはすぐにはかなわず、結婚、息子の誕生の後ち、遂に出家となりました。

  シッダールダが29歳の時でした。