平成23年2月 慧可に受け継がれた達磨の教え2

去年12月の話のつづきである。
達磨に入門を許された慧可が、ある日尋ねた
「私の心はふあんでしかたありません。」
すると、達磨はいった。
「それならば、その心をここに持ってきなさい。安心させてあげよう。」
 そう言われた慧可である。持ってこれるわけがない。
「こころのすみずみまで探しましたが、みつかりませんでした。」といった。
「そうか、それで安心したであろう」
慧可はこの言葉によりハッと大悟を得た。
これが、中国の禅における印可(免許皆伝)の始まりである。
この話は「世尊拈華」(せそんねんげ)と同様に「無門関」にでてくるお話で「達磨安心」(だるまあんじん)とよばれる。
慧可は達磨の教えを継ぐ二代目として、二祖(にそ)と呼ばれる。また、現在でも禅宗の修行道場では二祖が入門のために臂を切った「雪中断臂」の故事にならい、僧堂の庫裏玄関で数日間韋、駄天さまに向い、入門をお願をします。これを庭詰(にわづめ)といいます。