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お盆のお話あれこれ


お盆の由来にはお釈迦さまの十大弟子の一人、目蓮尊者の話が有名です。一方、日本独自の祖霊を祀る行事の習慣としても行われていました。いくつか紹介しましょう。
新暦で行う場合は7月、旧暦の場合は8月になります。

1日 
 釜蓋ついたちといいます。地獄の釜の蓋が開く日で、地獄に落ちた亡者が許されて、この世に変える支度をはじめる日。
 この日にマコモ(真菰)を刈り乾燥させます。また、小麦饅頭を作って仏壇にお供えします。

6日 
 墓掃除をします。マコモで馬を2頭、作ります

7日 
6日に作った馬の1頭を早朝、川に流します。これを迎え馬といい、この馬にご先祖さまが乗って、この世に帰ってきます。残りの馬は家に飾っておきます。
また、この日を「ナヌカ盆」といい、庭に高灯籠を立てて、24日まで夜に火をともします。

11日 
精霊棚に飾る花を採ります。萩、桔梗、女郎花(おみなえし)、山百合、撫子(なでしこ)などです。

12日
初盆の場合はこの日に精霊棚を用意します。新盆は四十九日が終わって、初めて迎えるお盆のことです。

13日
新盆でない場合はこの日の午前中に精霊棚を用意します。
(1)精霊棚を作る場所。
祖先の霊は位牌や家の外からやってくると考えられているので仏壇の前や軒先などに作ります。作り方は地方によっても異なります。
(2)四方竹を張ります。
 仏壇の前や廊下に四本の篠竹を立て、篠竹の上部にはマコモの縄を四方に張って仕切り、縄にはホウズキ、昆布、素麺などをぶら下げます。
 ホウズキは仏さまの智慧の灯りを表現しています。
(3)四方竹の内側に精霊棚を作ります。
  ベースとなる棚にはマコモで編んだゴザを用意します。
  机の上に雲座(一段高い場所)を作り真菰のゴザを全体に敷きます。雲座には御位牌、前の方には香炉と蝋燭立を配します。御供え物には海の幸、山の幸の他、蓮の葉に少量の水を入れた「閼伽水(あかすい)」茄子やキュウリを細かく切り洗米を加え水を入れた「水の子」、野菜、果物を供え、茄子(牛)やキュウリ(馬)におがら(皮をはぎ取った麻の茎)を刺し足にします。
 尻尾はトウモロコシのひげを刺し、背中に素麺を乗せる所もあります。キュウリの馬は、冥土からすばやく郷帰りして頂く乗り物として、茄子の牛はゆったりと帰って頂く乗り物としての解釈があります。まったく、逆の解釈もあります。また、馬は乗り物、牛は荷物を積むものとする所もあります。

迎え方にもいろいろあります。
(1)墓地や道の辻までご先祖さまを迎えに行く方法
墓に着くと提灯に火を入れて「お盆なのでお迎えに来ました」といって道案内して家に戻り、玄関先にタライを置き「これで足を洗ってお上がり下さい」と座敷に招き、アンコ餅やシンコ餅の迎え団子を供える。 
(1)迎え火を焚く方法
 たいまつや杉、おがらを炊きます。ご先祖様はその煙とともに家に入るのだそうです。
 また、庭先にはご先祖様に旅で汚れた足を洗っていただく水を汲んでおきます。
 迎え火には精霊の足もとを明るく照らす意味と、悪霊を追い払う意味があるそうです。

15日
 送り盆になります。
 夜なるべく遅く、迎えた時と同様墓や道の辻まで提灯を灯してご先祖さまを送る。着いたら灯を消して戻ってきます。
 送り火を焚き、先祖の霊を送ります。

13日〜15日
 盆踊りがあります。
 この期間、今でも盆踊り大会を開いている地域は多いですよね。
  盆踊りやその周りに広がる縁日は非日常から離れて楽しむお祭りとして認識されていますが、本来は祖先の霊を慰め、また、新盆を迎えた霊が迷ったりしないように魂を鎮めるために行うものでした。

16日 
    精霊流しです。
    早朝盆棚を崩して供え物や団子をマコモのゴザにくるんで近くの川に流します。これを流し盆といい、この中のトウガラシやサンショは三途(さんず )の川で鬼が出た時、これらをまいて鬼が拾って食べている間に通るといわれます。
 この日に送り日を焚く地域もあります。
 この日、地獄の門が閉じます。
 有名な京都の"大文字焼き"はこの送り火が大々的になったものです。正確には「五山の送り火」という呼び、5つの山で"大"のほかに鳥居の形、"妙法"、船の形などで送り火が行われます。
  一方、精霊流しの方は、お盆中にご先祖様にお供えした供え物を小さな船に乗せて海や川へ流す、という風習です。